ネット時代の名誉棄損

グロービートジャパン平和神軍事件裁判」の判決が出たそうです。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080303/21634


その内容ですが、

 インターネットの特性を、「発信者同士は対等であり、容易に反論可能」であり、
「マスコミの記事ではないことは明らかで、個人が表現を行う以上、情報収集能力や綿密な調査に
限界があるから、それを厳しく問うことは自己検閲を招き、表現の自由が目指す公共の福祉に反する」
としたのだ。その上で、

・サイトの表現は、平和神軍関係者と掲示板で議論していた流れの中で書かれたものであり、
 実際にインターネットを活用している相手に反論を要求しても特別不当とは言えない
・インターネット上で表現を行う水準での調査は行われていた
・現代社会の複雑な経済状況において、ある団体と別の団体に一体性があるかどうか調べることは
 困難であることを考えても、サイト管理人は記述が真実で無いとは知らなかったし、
 知っていて故意にウソを書いたとは認められない

 以上のことから、名誉毀損の罪には問えず、「無罪」であるとした。

 簡単にいうと「今までの判例基準では有罪であるが、社会情勢が変わったことによる
新しい判断基準を適用するため無罪」。すなわち、

 「インターネットの表現には、インターネット用の判断基準を適用すべき」

ということである。3点満点(3つともYes)ではなくても、2.5点ぐらいでいいですよ、
という内容になるわけで、これは、言うまでもなく「画期的な判決」といえる。

となっています。(改行位置修正)
(3点満点うんぬんは元の記事を読んで頂ければ分かる事ですが、「名誉棄損が成立しないための条件」が3つあって、それを全て満たさないと「無罪」にならなかったのがこれまでの判断基準だった、という事です)


2.5点とおまけしてもらえた0.5点分は「内容の真実性」に関する部分のおまけですが、このおまけが定着するとインターネット上で何か書く時のハードルを下げてくれますね。有難い事です。
一方でこのおまけの理由「相手が容易に反論できた」「できる調査をきちんと行った」「故意にウソを書いたわけではない」という点が、何か書く場合に配慮しなければいけないポイントを示していて非常に重要ですね。心掛けるようにしましょう。
また、最初の「サイトの表現は、平和神軍関係者と掲示板で議論していた流れの中で書かれた」あたりは、問題となったサイトで誹謗・中傷的表現があった事について、「口論の最中だったから」と大目に見たという事のようですが、「過激な表現や不当な罵倒は避けた方がいい」という点も忘れないようにするべきでしょうね。


大手メディアの記事は以下の通り。
http://www.asahi.com/national/update/0229/TKY200802290352.html朝日新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008030102091689.html東京新聞
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%CC%BE%CD%C0%B4%FE%C2%BB&k=200802/2008022900907時事通信
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS1G2903U%2029022008(IT-PLUS)


傍聴者の blog はこちら。
http://cultwatching.cocolog-nifty.com/cult/2008/03/post_6377.html


主任弁護士の blog はこちら。
http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2008/02/post_d3c4.html


(判決文本文を見つける事ができませんでした orz)