カレンダーに欲しいもの

卓ゲの身内のスケジュール調整に以前は infoseek で掲示板を立てていたのですが、ホームページサービスが閉鎖して後、スケジュール調整サービスを利用しています。幾つかあるサービスを選ぶ際に、私が(勝手に)評価していたポイントのひとつに「カレンダーとの連携」があったのですが、サービスを利用していてあまり重要ではない事に気が付きました。
というのもこのカレンダーとの連携は「日時が決まったらスケジュールイベントを発行」するものであり、日時ありきです。一方の我々の調整はある程度まとまった期間について、「どの休日なら集まれそうか」を調整するものであり、「次回セッションの日程調整」のようなある特定の日時を決めるものではないのでマッチしないのですね。


カレンダー共有サービスも考えはしたのですが、これもまた共同のスケジュールを共有するためのものであり、空き状況を共有するものではないためちょっと微妙です。あるいは「シェアしているユーザーからの「この日なら」投票を受け付ける」ような機能がカレンダーの標準的な機能*1に加われば理想的なのですが……


ところでこれを考えるに当たってついでに気が付いた事があります。それは「個人に紐づく全てのカレンダーは一元的に見たい」けど、「ある個人のカレンダーを全て関係者と共有する事はできない」という、まあ、言葉にしてしまえば当たり前の事です。
しかし、カレンダーサービスを見ていると当たり前に感じるこのことが、グループウェアではそうではなく、導入しようと評価してみるとイマイチと感じるのです。


家族、友人、会社、クラブ、人は幾つかのコミュニティに所属します。コミュニティはそれぞれにイベントがあり、それぞれの都合でスケジュールが立てられ、イベントが実行されますが、それに属する個人は自分の時間をそれぞれのコミュニティのイベントに配分していることになります。ですから、全てのイベントを一元的に管理できないと不便になります。
一方で、個人の全てのスケジュールをその個人の関係者全員と共有する事はできません。特に困難なのは仕事関係のイベントでしょう。情報漏洩のリスクが伴います。つまり、コミュニティのイベントはコミュニティ内で閉じて共有される必要があるわけです。


企業で使われるようなグループウェアは外部との連携がそもそもできなかったりします。情報漏洩に繋がるからそんな事はしたくない、という事なのかもしれません。ですがスケジュールが分割管理される事は単純に不便*2です。例えば「家族に頼まれた買い物」のような単純なイベントであっても、仕事のスケジュールを見ながら「あ、この日はお客様訪問先に池袋通るから、この日に買ってこよう」のような調整をする事で、その人の行動は最適化できるのに、です。
そうして全体を見通したいと思った人は、手帳でスケジュール管理したり、外部のカレンダーサービスを使って管理したりするわけで、別の情報漏洩のリスクを抱えるだけでしょう。そもそも「個人の時間を切り分けている」以上、情報をまとめる必要があるものであり、それを無理に分離しようとするからイタチごっこに陥るのではないでしょうか?
あえて情報漏洩の対策を盛り込むのだとすると、「スケジュール概要は符牒で記述=そこにスケジュールがある事、関係者にだけは何であるか大体分かる事」と「詳細情報は連携表示できない=全部を細かく知りたい局面ではアクセスが限定されていても構わない」ような形がよいのではないでしょうか?


そういえば、カレンダーサービスは外部カレンダーの連携として「そこにスケジュールがある」事だけを連携する機能(iCalendar の仕様に厳密であると仮定するとフリー・ビジータイムが使われているものと思います)があったりするのに*3カレンダーの標準で予定の重要度(単に有/無だけではなくそのイベントの調整可能性に関する情報)について標準化されていないのもイマイチですね。

*1:iCalendar http://tools.ietf.org/html/rfc2445 あまり知られていませんが、カレンダーにも標準の仕様があったりします

*2:会社からしかアクセスできないようなグループウェアだと致命的に不便です。スケジュールが個人に紐づいている事をあまり大切に考えていないのかもしれません

*3:Google カレンダーには「予定の有無」という機能が Labs に、Yahoo! カレンダーは公開設定で「予定あり」だけを表示するような機能があるので